株式会社livo

企画からデザイン、マーケティングまで。livoとZENが進めたゼロからのAI時代のプロダクトづくり 

取り組み概要

料理動画を見て、その場でお得な食事券を買える——。「livo」は、訪日観光客に向けて、日本の飲食店の魅力を動画で届けるグルメ体験アプリだ。株式会社livo代表の劉亮言さんは、「Life + Video」という構想をもとに、ショート動画を見ながら商品を購入できるサービスを立ち上げた。

そのlivoの立ち上げに、アイデア段階から伴走したのが株式会社ZENだ。構想の壁打ちから、ターゲット設計、POC、UI/UX、テストマーケティングまで。プロダクトマネジメントを軸に、デザイナーやマーケターも含めたチームで、ゼロからのアプリ開発を支援した。今回は、劉さんと株式会社ZEN代表の佐伯航平さんに、livoの立ち上げと、ZENの伴走について話を聞いた。

この記事に登場する人物

佐伯航平(Kohei Saeki)
株式会社ZEN代表。サイバーエージェントでエンジニアとして開発経験を積んだ後、メルカリにてプロダクトマーケティングマネージャーとして事業成長に携わる。現在はプロダクトマネジメント、グロース、AI活用を横断しながら、企業の新規事業・サービス成長を支援している。

劉 亮言(Liang-Yen Liu)
株式会社livo代表。台湾出身。大学で日本語を専攻し、2015年に旅行系スタートアップKKdayに入社。翌年、日本支社立ち上げの一号社員として単身来日し、営業から契約、経理までを一人で担う。その後、旅行会社の日本法人立ち上げなどを経て、2019年に株式会社アリナシを創業。2025年、2社目となる株式会社livoを設立し、グルメ体験アプリ「livo」を立ち上げた。

ショート動画から、その場で買えるグルメ体験へ

——まず、livoがどのようなアプリなのか教えてください。

劉さん:livoは、ショート動画を見ながら、その場で商品を購入できるサービスです。まずはアジア圏の訪日観光客に向けて、日本の飲食店の魅力を動画で届けるグルメ体験アプリとして展開しています。

私は以前、KKdayやKlookといった旅行会社、いわゆるOTA(オンライン・トラベル・エージェント)で働いていました。そうしたサービスでは、テキストと画像を見て、お客様に「これいいな」と思ってもらい、購入していただく形が中心です。でも今の時代は、多くの人が日常的にショート動画を見ていますよね。写真や文字だけでは伝わりにくい、お店の雰囲気や料理の美味しさも、動画なら直感的に伝えられる。そこで考えたのが、ショート動画を見ながら、その場で商品を購入できるサービスです。

〈キャプション〉株式会社livo 代表 劉亮言さん

ivoという名前は、「Life + Video」に由来しています。飲食だけではなく、美容やアクティビティなど、暮らしに関わるさまざまなサービスを動画で届けていきたいという意味を込めています。ただ、最初は一番入りやすく、購入にもつながりやすい飲食店から始めました。たとえば、肉が焼ける音や店内の活気を動画で見て、気に入ったらその場でバウチャー(食事券)を購入する。当日はお店でチケットを見せるだけです。日本の飲食店の魅力を、動画を通じて海外の方に届けたいと思っています。

——livoの立ち上げには、佐伯さんがアイデア段階から関わられています。お二人はどのように知り合ったのでしょうか?

佐伯さん:最初は、共通の友人が参加していた経営者向けのサーフィンコミュニティで出会いました。ただ、その時はそんなに話していないんですよね。笑

劉さん:その翌年、台湾へのサーフトリップで一緒になったんです。私は台湾出身なので、現地の移動や滞在先などを手配していました。その時、航平さんが友人の相談に答えている様子を見て、すごく賢い方だなと感じたんです。朝早く起きて外で本を読んでいる姿も印象に残っていて。

劉さん:私自身、アイデアはいろいろあります。ただ、それをプロダクトや事業として形にしていくには、自分にはない知恵や視点が必要だと感じていました。livoも、構想だけではなく、アプリとして使える形にしていく必要があったので、ZENさんのように一緒に考えてくれる人に相談したいと思ったんです。

佐伯さん:僕としては、劉さんが大きなバスをチャーターしてくれていたのが印象的でしたね。行動力がすごいなと。笑 一緒に過ごす中で、劉さんは本当に明るくて前向きで、何より人柄が素敵だなと感じていました。だから、プロダクトの話以前に、声をかけてもらえたこと自体が嬉しかったですし、「一緒にやりたいな」という気持ちが先にありましたね。

ゼロからの構想を、まず試せるプロダクトへ落とし込む

——協業は、どのようなところから始まったのでしょうか?

劉さん:かなり初期の段階から相談に乗ってもらいました。どんなターゲットに向けるのか、どんなデザインにするのか、POC(実証実験)をどう進めるのか。その結果の分析まで、一緒に考えてもらいました。

佐伯さん:ゼロからと言っても、劉さんの中には「Life + Video」という構想が最初からあったんです。ショート動画を見ながら、その場で買える体験をつくる。ただ、飲食や美容、アクティビティなど、ライフスタイル全般を対象にすると、最初のプロダクトとしては少し広すぎる。僕の役割は、その大きな構想を、まず検証できる形に落とし込むことでした。

——方向性は、どのように絞り込んでいったのでしょうか?

佐伯さん:劉さんはビジョナリーで、最初からライフスタイル全般をやりたいという大きな構想を持っていました。だからこそ、まずは「誰に、どんな体験を届けるのか」を具体的にする必要があったんです。そこで、最初のターゲットはアジア圏の訪日観光客に絞り、領域も飲食から始めることにしました。そうした方向性は、かなりディスカッションしましたね。

〈キャプション〉株式会社ZEN 代表 佐伯 航平さん

劉さん:飲食から始めたのには、もうひとつ理由があります。飲食はお客様にとって入りやすく、購入にもつながりやすい領域です。さらに、共同創業者が飲食店とのつながりを持っているので、ゼロから営業しなくても早く始められる。まずはそのリソースを活用して、次のステップで営業を広げていくという組み立てでした。

——「ショート動画で買う」というコンセプト自体には、確信があったのでしょうか?

劉さん:ありました。前職で、ショート動画を見ながら旅行商品を販売するチームにいて、実証実験のデータをたくさん見てきたんです。なので、「ショート動画でものが売れる」という部分には、最初から確信がありました。

佐伯さん:そこは劉さんのバックグラウンドの強さですよね。OTAの立ち上げからショート動画コマースまで、この領域をずっと現場で見てきた。だからこそ、livoで何を検証すべきなのかを、最初からかなり絞り込めたと思います。

〈キャプション〉livoのWebサイト

POCで手応えをつかみ、本開発へ

——POCでは、どのような検証をしたのでしょうか?

佐伯さん:大きく分けると、ニーズの検証と、プロダクトとしての使いやすさの検証です。まずニーズについては、InstagramなどMeta系の広告を使って、訪日観光客に向けて飲食店の動画を配信し、どれくらい興味を持ってもらえるかを見ました。結果として、クリック率は当初の試算を大きく上回り、「このサービスにはニーズがありそうだ」という手応えを得られました。

劉さん:あのPOCは印象に残っています。実は私は最初、POCをやること自体を考えていなかったんです。でも航平さんが「やったほうがいい」とアドバイスしてくれて。結果的に、CPMやCTRも目標を上回りましたし、性別や年齢などのデータも取れたので、その後の開発に活かすことができました。

佐伯さん:一方で、POCの時は簡単なウェブページで検証していたので、購入まわりには課題も残りました。ブランドの知名度や決済のハードルもあって、そこで「ちゃんとプロダクトとして作っていこう」という話になり、本開発に進みました。POCは約3ヶ月、その後の開発も半年以内で進めています。少人数のチームだったからこそ、スピード感を持って進められたと思います。

プロダクトマネジメント、デザイン、マーケまで。ZENがチームで支える

——開発チームがいる中で、佐伯さんはどこを担っていたのでしょうか?

佐伯さん:メインで担っていたのは、プロダクトマネジメントです。劉さんの構想を、実際にどのようなアプリとして形にするのか。ターゲットや機能、ユーザー体験を整理しながら、開発に落とし込んでいく役割でした。それから、開発チームはデザインを専門としているわけではなかったので、ZENのデザイナーにも入ってもらい、UI/UXを一緒に作りました。見た目がおしゃれなだけではなく、初めて使う人でも迷わず使えるか。そこはかなり意識しましたね。

さらに、作ったものの検証や広告配信など、マーケティングまわりも支援しました。プロダクトマネジメントを軸に、企画、デザイン、マーケティングまで、ZEN側でスモールチームを組んで伴走していた形です。

〈キャプション〉飲食店の情報からコース内容、バウチャー購入まで確認できるlivoの画面

——企画からデザイン、マーケティングまで、ZENと一緒に進めてみていかがでしたか?

劉さん:正直に言うと、このアプリの半分くらいはZENさんが作ってくれた感覚があります。デザインやコンセプトはもちろん、「このボタンを押したら何が出てくるか」といった細かい体験設計まで、一つひとつ一緒に考えてもらいました。そのおかげで、自分が最初に想像していた以上に良いものになったと思います。

特にありがたかったのは、日本人の目線でアドバイスをくれたことです。livoは海外の方に日本の魅力を届けるサービスなので、アプリの雰囲気や見え方にも、どこか日本らしさがあることは大切だと感じていました。そういう感覚を一緒に作ってもらえたのは大きかったです。

それから、人のつながりの面でもたくさん助けてもらいました。デザイナーさんやプロモーションに関わる方を紹介してもらったり、会社のホームページ制作までサポートしてもらったり。本当に、自分の会社のことのように一緒に動いてくれました。

〈キャプション〉ショート動画を見ながら飲食店を探せるlivoのアプリ画面

自分たちで使うことで、プロダクトの課題に気づく

——チームでの印象的なエピソードはありますか?

佐伯さん:5月頃、チームのみんなで実際にlivoを使って焼肉に行ったのは印象に残っています。お店の前でアプリからバウチャーを購入して、店頭でQRコードで決済して、みんなで食べる。自分たちで作ったアプリを実際に使って食事ができるというのは、新鮮でしたね。

劉さん:最初は店員さんが仕組みを把握していなくて、こちらから説明が必要な場面もありました(笑)。でも、実際に使ったからこそ見えた課題もあって、いい機会になりました。

——日本、台湾、中国と、多国籍なメンバーで開発されていますね。チーム内のコミュニケーションはいかがでしたか?

劉さん:コアメンバーは4人で、日本人、台湾人、中国人がいるチームです。普段のコミュニケーションは日本語なので、特に困ることはありませんでした。本当にゼロから、このメンバーで一緒に作ってきました。

〈キャプション〉日本、台湾、中国のメンバーで構成される開発チーム

佐伯さん:チームの雰囲気がすごくいいんですよね。それは劉さんの人柄によるところも大きいと思います。あと、みんな僕に合わせて日本語で話してくれていて。僕がオンラインミーティングに少し遅れて入ると、それまでは中国語で話しているんです(笑)。ありがたいなと思っています。

年内ローンチへ。ローカルな食体験を動画で届ける

——今後の展望を聞かせてください。

劉さん:現在は正式ローンチに向けて、ショート動画のコンテンツを増やしているところです。年内のリリースを予定していて、まずはアジア圏の訪日観光客に届けながら、データを見て改善していきたいと思っています。将来的には、日本の方にも使ってもらいたいですね。

今はSNSを見てお店を探す人が多いですが、その場で購入までできるサービスはまだ少ない。livoでは、「行ってみたい」と思った瞬間に、そのままバウチャーを買える体験を作りたいと思っています。また、海外から来た方に届けたいのは、有名店だけではなく、ローカルの人が通うようなお店です。写真だけでは伝わらない料理のおいしさや店の雰囲気を、動画だからこそ届けられると思っています。

——最後に、ZENと一緒に開発してみて、いかがでしたか?

劉さん:最初にあったのは、ほとんどアイデアだけでした。それを実際のアプリにするには、ZENさんのサポートが欠かせなかったと思います。方向性を考えたり、細かい仕様を詰めたりしながら、一緒に形にしてもらいました。私一人ではできなかったですね。

佐伯さん:ZENは一人の会社に見えるかもしれませんが、実際にはデザイナーやマーケター、エンジニアなど、信頼できる仲間とチームを組んでプロジェクトに入っています。「新しいものを作りたい」という時に、必要な専門性を持つ人を集めて、チームとして伴走できる。それがZENの強みだと思っています。AIの時代には、こうした柔軟なチームのあり方がさらに増えていくと思うので、その先頭を走る存在になりたいですね。

取材・文・写真:藤井由香里

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